交通事故の休業補償について

休業損害と休業補償の違い

「休業損害」は、交通事故によるケガで仕事を休んだ場合に、得られるはずだった収入を補償するものです。これは自賠責保険や任意保険から支払われます。

「休業補償」は、労災保険から支払われるもので、勤務中や通勤中の事故で仕事を休んだ場合に適用されます。

休業損害の計算方法

• 給与所得者の場合: 事故前3ヶ月の平均給与を基に1日あたりの収入を計算し、休業日数に応じて損害額 を算出します。自賠責保険基準では1日あたり6,100円が原則ですが、証拠があれば19,000円まで請求可 能です。


• 自営業者の場合: 確定申告書を基に計算します。

休業補償の計算方法

• 給付基礎日額の60%×休業日数で計算されます。さらに、特別支給金として20%が上乗せされるため、合計80%が支給されます。

受給条件

• 休業損害: 交通事故によって収入が減少した場合に請求可能です。専業主婦や学生も対象となる場合があります。

• 休業補償: 業務中または通勤中の事故による負傷であることが条件です。待機期間(最初の3日間)は支給されません。

このように、交通事故における休業補償と損害は異なる制度であり、適用条件や計算方法が異なります。

休業補償の支給期間

 原則として傷病が治癒するか症状固定の診断を受けるまでです。治癒とは、病気や怪我が完全に治り、元の仕事に復帰できる状態を指します。症状固定とは、これ以上治療しても症状が改善しないと判断された状態で、後遺症が残る可能性があります。
また、療養開始から1年6ヶ月が経過しても治癒または症状固定にならない場合は、傷病等級に該当するかどうかの審査を受け、その結果に応じて補償内容が変わります。傷病等級に該当すると判断されると、休業補償から傷病補償年金に切り替わります。

休業補償の申請

 手続きは比較的シンプルですが、いくつかのステップを踏む必要があります。まず、労働者が「休業補償給付支給請求書」を労働基準監督署に提出します。その後、労働基準監督署が調査を行い、決定通知が届きます。通常、このプロセスは約1ヶ月かかりますが、申請内容によっては時間がかかることもあります。
申請書類には、業務災害と通勤災害で異なる用紙が使用され、詳細な情報を記載する必要があります。また、派遣労働者の場合は本人または派遣元の会社が手続きを行うことができます。正しい手続きを行わないと、支給が遅れたり受け取れる金額が減少する可能性があるため、注意が必要です。