自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)について

自賠責保険は交通事故による被害者を救済するために法律で加入が義務付けられている強制保険です。すべての自動車、二輪車、原動機付自転車が対象となります。

補償内容

人身事故に対する補償

自賠責保険は、他人の死亡や負傷に対する損害賠償責任を負った場合に保険金を支払います。具体的な補償内容と限度額は以下の通りです:
• 死亡: 最大3,000万円
• ケガ: 最大120万円
• 後遺障害: 程度に応じて75万円から4,000万円

支払われないケース

自賠責保険は以下のようなケースでは保険金が支払われません:
• 運転者自身のケガ
• 自動車の修理代
• 単独事故(例: 電柱に衝突)
• 物損事故

被害者請求制度

被害者は直接、加害者の加入する保険会社に損害賠償額を請求できます。加害者との示談が成立しない場合などに利用されます。


保険料と期間
自賠責保険の保険料は車種や契約期間によって異なります。例えば、自家用乗用車の場合、12ヶ月契約で11,500円、24ヶ月契約で17,650円、36ヶ月契約で23,690円です。


注意事項
自賠責保険は物損事故や運転者自身のケガには適用されないため、任意の自動車保険への加入も推奨されます。

支払いまでの流れ

1. 交通事故の発生

事故が発生し、損害が生じた時点で保険金の請求が可能となります。

2. 保険金の請求

被害者または加害者が、自賠責保険会社に対して保険金を請求します。この請求には「被害者請求」と「加害者請求」の2種類があります。

3. 損害調査

保険会社が事故の詳細や損害額を調査します。このプロセスは時間がかかることがあり、通常は1ヶ月以上かかることもあります。

4. 審査と支払金額の決定

調査結果を基に、保険会社が支払うべき保険金額を決定します。

5. 保険金の支払い

決定された金額が被害者または加害者に支払われます。支払いは、通常、被害者の治療が終了した後に行われます。後遺障害がある場合は、その認定後に支払われます。
このように、自賠責保険の保険金は、事故発生から調査・審査を経て最終的に支払われるまで、一連の手続きを経て進められます。

自賠責保険料の値下げ

 2023年4月からの自賠責保険料の値下げは、主に交通事故の減少とそれに伴う保険金支払額の減少が理由です。具体的には、自動ブレーキなどの安全技術の普及や、コロナ禍による生活様式の変化が事故件数を減少させました。これにより、保険金支払いが減少し、保険料も平均で11.4%引き下げられました。
また、新たに被害者保護増進等事業に充当するための賦課金が設定されましたが、この影響を上回る形で純保険料率が下げられたため、全体として値下げが実現しました。